リーダーインタビュー

ALMEX WAYを礎に企業文化を創造し、
「テクノホスピタリティを世界へ」の実践を目指す

代表取締役社長 馬淵 将平

代表取締役社長 馬淵 将平

次の50年に向けた、価値提供の道しるべとして策定

ALMEX WAYを策定した目的・経緯を教えてください。

これまで次代に向けた私どものキーワードとして「テクノホスピタリティ(TECHNOLOGY×HOSPITALITY)」やADX(アルメックス・デジタルトランスフォーメーション)を打ち出し、組織改革や成長投資を積極的に行ってきました。お客さまに価値ある製品・サービスを提供し社会に貢献していくというゴールを実現していくためです。しかし、一度立ち止まって、そもそも我々はどういう企業文化を創りたいのか、どういう組織集団になりたいのか、その本質的な問いかけに対する解といいますかその拠り所となるものが必要だと考えました。

アルメックスの一員として大事にすべきこと、守るべきことを理解し、一人ひとりが会社の未来を創っていく担い手であること、新しい組織文化の伝承者であることを自覚しなければなりません。当然のことながら社員一人ひとりのバックグラウンドや考え方は異なります。そこで、創業55年を迎え次の50年を語るにしても、すべてのスタッフが社会に対する価値提供の道しるべともなる企業文化、行動基準をしっかり創っていくべきだろうと考えました。そうして作成したのがALMEX WAYです。2019年に5ヵ年の中期経営計画を策定したタイミングで全社員に発信しました。コロナ前の話です。

代表取締役社長 馬淵 将平

人・モノ・カネ・情報を活用し、社会に求められるプロダクツサービスを提供していくことが企業経営の基本です。しかし、そこに理念やビジョン、ブレないバックボーンがないと、短期的には繁栄できても苦しい時に耐え、乗り越え、発展していくことは難しい。そこで、サスティナブルな企業成長を支えるバックボーンをみんなでしっかり創り守っていこうという問題意識を全社で共有することにしたのです。

あくまで社内的なメッセージだと思いますが、対外的にも公表しているのはなぜですか?

お客さまをはじめ、パートナー企業さま、仕入先企業さまにも私どもの理念をしっかりと打ち出して、新しい組織文化を創ろうとしていることをご理解いただこうと考えたからです。それにより信頼関係が一段と深まり、WIN-WINのビジネスを共に築いていくことができると期待もしています。また、外部へ向けて発信することで、社内に緊張感をもたせるのも狙いの一つです。「一人ひとりが未来を創っていく担い手」と宣言したわけですから、より自分事として意識してもらいたいという想いで開示したのです。

社長自身がALMEX WAYを発案したそうですが、ベースになっている考え方などはありますか?

サッカー界には「ゴールは偶然の産物ではない」という名言があります。成功すなわち目標とするゴールには偶然ではたどり着けないということです。スペインの名門チームであるFCバルセロナが王者から転落してしばらく勝てなかった時、チームをビルドアップし直しました。そのことはいろいろな教材や文献で取り上げられており、私も注目していました。一連の文献の中に経営学者ダミアン・ヒューズの「FCバルセロナ 常勝の組織学」という書籍があります。サッカーと企業経営はもちろん違うけれど、似ている部分や見習うべきことも少なからずあると同書に教えられました。

当社では年2回、泊まり込みで幹部15名ほどが参加する戦略会議があります。2019年2月のその会議で、私は幹部たちに「ALMEX WAYをみんなで創りたい」と話しました。まずは参加者に「FCバルセロナ 常勝の組織学」を読んでもらい、そこに書いてあることをアルメックスにも適用し、アルメックスに適用できない部分はかみ砕いて新たに盛り込み、アルメックスに必要とされる組織文化を考えるよう宿題を出しました。各々の研究成果を発表し合い、議論を重ねて、2019年8月の戦略会議でまとめ上げたのが現在のALMEX WAY形です。アルメックスを引っ張っていく幹部たちが自分事として考えてまとめたものですので、目的にコミットした内容になっています。

代表取締役社長 馬淵 将平

社員一人ひとりが自分事としてビジネスと向き合うために

ALMEX WAYについて、まず「MISSION」の説明をお願いします。

コロナ禍によって非対面・非接触のシステムの普及が加速しました。いまや小売業界の世界でもマックスバリュ、アリババスーパー、Amazon Goなどの無人化店舗が登場しています。アルメックスはそれ以前から「テクノホスピタリティを世界へ」というキーワードのもと、ホテルや病院をテクノロジーでサポートする省人化社会を創造し、「便利」「効率」「効用」をお届けすることを目指してきました。そこは、データと人が接触する端末・システムが基点となって成り立っている世界です。まさにOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)こそ、我々が追求するべき世界観であると考えています。

テクノロジーを駆使して世界へ、そして社会へ、安心と快適に満ちたホスピタリティを浸透させていくことがアルメックスのMISSION(使命)です。

その一方で、当社はどうしても「精算機のアルメックス」というイメージが強いことは否めません。一つの分野でオーソリティとして世の中にご認識いただいているのは有り難いことですが、この狭い領域に固執して社会やテクノロジーの変化に適応できない企業となってしまったら市場から退出を余儀なくされます。「精算機のアルメックス」にこだわることなくもっと広い視野で事業を捉えていることを表明するために、ビジネスの領域や在り方の本質を再定義したいと考えました。「テクノホスピタリティを世界へ」には、そういう想いが込められています。一次的にはB2Bのお客さま向けのソリューションが主体ですが、その店舗や施設に集うエンドユーザーにもテクノロジーをもってホスピタリティを提供する、それこそがアルメックスが本質的に追及する存在価値なのです。解決すべき大きな社会課題やお客さまからご要望があるのであれば、リミッターを外してそれに応えていこうとするのがアルメックスであるということを私なりに再定義したわけです。

一例ですが、BOPIS(Buy Online Pick-up In Store=オンラインで購入して店舗で受け取る)という小売業のビジネスの在り方としてトレンドとなり始めている仕組みがあります。事前に予約しておいて帰宅する途中にお店によってピックアップするという動きです。 そうした動向は小売業界に限ったものではなく、飲食業や薬局業界などにも出現しています。ホテルも同様です。人が移動し宿泊するリアルな空間ではありますが、予約や決済、チェックインなどオンライン空間で事前にできることがたくさんあります。それは、まさにオンラインとオフライン、バーチャルとリアルが融合する世界です。このOMOの世界は、システム・テクノロジーの活用がなければ実現できません。そうした人々のカスタマージャーニーの入口から出口までのタッチポイントをサポートするのが、私どものハードウェアとソフトウェア、そしてサービスなのです。
併せてアルメックスがプロダクツサービスを提供し事業運営するうえでいつも大切にしている視点は、私たち自身が生活する人間社会そのものの在り方がどう変化していくのか、人々が行き交い集う空間をどう進化させて行ったら良いのか、ということです。

次は「VISION」ですが、こちらにはどういう想いが込められていますか?

MISSIONを遂行していくにあたってアルメックスがどういう企業になりたいのか、どのような組織でありたいのか。それがVISIONなわけですが、「断トツNo.1プレーヤーへの挑戦」を掲げています。具体的には、①マザーマーケットとしての日本市場を存立基盤とし、必要とされる次へ変革し続ける企業であること、?テクノロジーを武器としてOMO社会における付加価値ソリューションを提供しアップデートし続ける企業となること、③インバウンド事業とアウトバンド事業を創出育成し、マザーマーケットと海外マーケットの架け橋を担う企業となる、ということです。

その結果として、お客さまやお取引先さまから真に頼られる唯一無二の断トツNo.1ベストパートナーであり続けることを目指しています。そしてもう一点。私どもが提供している主力製品の一つである自動精算機。これは外から見たらわかりやすいので、どうしても「精算機のアルメックス」という印象が強くなっていると思います。しかしその裏ではいろいろなソフトウェアが機能しているわけで、また私どもの他のソフトウェアやハードウェアとコネクトし連携して一連のオペレーション・システムや決済サービスをご提供しているわけです。本来、そこが私どもの価値創出の根源であり、利益の源泉にもなっているのです。自動精算機を提供する会社でありながらも、人の行き交う空間、施設、店舗にさまざまなテクノロジーを通じて便利、安心、安全、快適、豊かさを提供する会社。それがアルメックスの本当に目指したい姿です。

断トツNo.1を目指そうという方針はわかりましたが、それを実践するために社員にどのようなことを望みますか。

私は社員の皆に対して“OUT OF THE BOX”という言葉をよく使い語りかけています。箱の中、つまり居心地の良い場所に居続けるなということです。社会のニーズは目まぐるしく変わっていくのだから、自分たちの活動領域を狭めてはいけない。「テクノホスピタリティ」を具現化する企業なのだから、アルメックスのMISSIONとVISIONに沿うことであれば、固定観念や因習を捨ててどんなことにチャレンジしても許されるはずだと。
また、グローバルにビジネスをできる人材、組織にならないといけない、と伝えています。これも一例ですが、私どもが開発したソフトウェアおよびハードウェアの4割近くが海外メーカーやベンダーから調達ないし協業開発した製品になっています。アルメックスの医療機関向けの次世代受付機「Sma-paターミナル」は台湾メーカーと、ホテル客室向け次世代マルチ情報システム「IoTターミナル」は中国深?のベンチャー企業と、ホテルやゴルフ場向けの専用DXアプリ「ステイ・コンシェルジュ」はフィリピンのソフトウェアベンダーと協業して開発、製造を行っています。このようにグローバルベースのビジネスの比率は着実に高まっています。もはやグローバルネットワークをしっかりと構築してプロダクツ開発やSCMの推進を行っていかないと、本当に良いものや、時代に合ったものは創造できなくなっていきます。グローバルな領域で最適なパートナーや市場を探求して取り組んでいくことが求められる中で、グローバルビジネスを実践できる人材を育成し、採用し、組織能力を高めていきたいと考えています。

そして3つ目の「VALUE」ですが、こちらはいかがでしょうか。

「習慣」というのは、誰も見ていない時でも、誰に言われるまでもなく、能動的で自律的に繰り返し行われる言動のことです。私どもがそのMISSIONとVISIONを実現していくために、アルメックスを担うすべての人が共有・共感・共鳴できる共通の価値観(VALUE)や行動規範をもって活動していくことが重要になります。組織文化と言っても良いでしょう。アルメックスが目指し、創造していく組織文化とは何か。それは「コミットメント文化」です。そして「コミットメント文化」を醸成していくために私たちが大切にすべき指針(VALUE)として、①インテグリティ(INTEGRITY)、?パラノイア楽観主義、③ラストマンリーダーシップの3つを掲げています。
まず「インテグリティ」について。INTEGRITYとは「誠実さ」「高潔さ」を意味する言葉ですが、グローバルカンパニーでは「崇高な誠心」「正義」「規律」といった意味合いで使われていることが多いです。お客さま、取引先、パートナー企業、社員、チーム、そして何よりも自分自身に誠実であり真摯であること。お客さまに徹底的に寄り添いエンゲージメントする姿勢と行動。これをまず大切にする組織でありたいということです。

ある大手飲食チェーン企業に革新的なDXシステムを納入させていただいた際、その稼働状況を確認するため担当者が自分の意志で連日連夜お店に足を運び仕事に専念する傍ら、お客さまのお店の主力メニューのハンバーグを食べ続けたという実話がありました。彼には社長賞をあげました。アルメックスにはそのように誠心誠意お客さまに尽くす社員が多くいて、私はそういうところが大好きです。しかし、やはり人間ですからつい気が緩んで誠実とは言えないことをしてしまう可能性はあります。だからこそ、コミットメント文化を創っていくうえでインテグリティの重要性を最初に掲げています。
また組織の仲間に対しても同じことです。信頼と、信用を共通の基盤としてチームワークを大切にすること。たった一人でできることは限られるし、逆に他の人に求めるだけでは本当の信頼関係は築けません。「速く行きたければ一人で行け。遠くへ行きたければみんなで行け」。大きな事を成し遂げるためには信頼・信用の絆で結ばれている真のチームが必要なのです。この点も非常に大事だと思っています。

次の「パラノイア楽観主義」とはどういうものですか?

“PARANOIA”は「心配性」「臆病」ということを意味しますが、社会環境もお客さまの状況もテクノロジーも刻々と変わっていくのだから、しっかりアンテナを張って情報収集し、しっかり計画を立てて、先手を打ちにいくビジネススタイルを定着させようという意図です。いつも「臆病すぎるほど心配性になれ」と言っています。心配性というと大袈裟ですが、事細かに気を配り、慎重に準備し、着実にそして時に大胆に計画を実行していこうということです。それも明るく快活に笑顔を絶やさずに。

もう一つ。WHYとHOWを大事にしてシナリオプランニング思考をもって行動することを掲げています。シナリオを作るというのは、社会情勢の変化やお客さまの課題・ニーズ、業界を超えた競合他社の動きなどを先読みし、予防策や先手を打つような施策を講じていこうということです。後手に回ってしまうと問題はさらに深刻化し大きくなります。先手を打って準備し対処していけば心に余裕ももてるし、大きな問題になる前に打開策を生み出すことができれば結果として楽観的でいられるわけです。そして、シナリオプランニング思考で自ら行動するということは、ビジネスをまさに自分事として捉えて動けるということに繋がっていきます。それが最後の「ラストマンリーダーシップ」です。
一人ひとりが「自分が最後の砦」と思い、自己の使命、求められている仕事に情熱をもって全力で向き合う。ブレない、媚びない、屈しない、そして逃げないということ。責任感と当事者意識(アカウンタビリティ)を一人ひとりが自覚し行動することにより組織は確実に変わります。チームにおいては「パスを出したらパスを拾いに行く」、「パスをもらったらパスを返す」。この当たり前の事を習慣化して繰り返し実行していくことが求められているのです。

私どもが標榜するコミットメント文化とアルメックスの未来のパフォーマンスは、この「インテグリティ」×「パラノイア楽観主義」×「ラストマンリーダーシップ」の掛け算で出来上がるものだと思っています。

全員がアルメックスの文化を伝承するエバンジェリスト

社内にはどのくらいALMEX WAYが浸透していると考えますか?

代表取締役社長 馬淵 将平

2019年9月からALMEX WAYを発信し始めて1年半がたったいま、20%程度の浸透でしょうか。しかし、会議などでも「それはALMEX WAYではない」、「インテグリティが足りない」、「ラストマンになれ」などと意識の高い社員はこれらのキーワードをよく議論の場で使っています。それが社内に伝播していけば社員全員の思考と行動は変わっていくという確信はあります。

もともと戦略会議で創り上げたものだから、まずは幹部が実践し、それを部長、支店長、課長が受けて、さらに若い世代の社員たちへ伝えていく。だから、私は「全員がALMEX WAYとコミットメント文化のエバンジェリスト(Evangelist:伝道師)になろう」とよく口にしています。

本当にお恥ずかしい話ですが、ALMEX WAYを打ち出した直後の一年間で連続して大きなトラブルが発生しました。パンデミック(コロナ禍)の襲来を含めると、ほぼ同時多発的に「5重苦」の逆境に立たされました。
?1つ目は、レジャーホテル検索サイトで第三者からの不正アクセスがあり、原因究明と抜本的なシステム改修を断行するために半年間サービスを停止せざるを得ませんでした。ワーストケースのリスクを把握しながらもサイバー・セキュリティ対策が甘かったことが原因です。
?2つ目は、コロナ禍のもと中国のサプライチェーンが機能しなくなり、ビジネスホテル向けスマートチェックインKIOSKの一部デバイスが枯渇する事態となりました。在庫は悪だと言っていられない状況です。海外での不穏な動きは感じていたものの、生販マネージメントを含めもっと早く手を打たなかったことが招いたトラブルです。
?3つ目は病院向け新型自動精算機において、ディプロイ検証を十二分にせず従前のCPUを搭載して出荷したことにより、受付から精算までの時間が従来精算機の倍近くかかるという問題が発生しました。高性能のCPUへ入れ替えるリワークを実施するためにお客さまに多くの迷惑をかけ、また多額の費用を要することにもなりました。
?そして4つ目は、クレジット決済端末の設置工事で、クレジットカード情報の設定ミスにより、宿泊者が実際に利用したホテルではなく他の加盟店で決済されるというインシデントを起こしてしまいました。フィールドエンジニアにあってはならない単純な人的ミスとマニュアル整備の不徹底が原因です。

これらはまさに組織としても、一人ひとりの意識と行動としても、ALMEX WAYで謳っていることが欠如している結果、招いたものばかりであると私はあらためて痛感しました。ALMEX WAYを本気で根付かせていくために乗り越えねばならない最初の大きな試練を突き付けられたのだと前向きに受け止めました。4つのトラブルはすべての社員に包み隠さずで報告し共有しました。そして、これらを有り難き教訓として、ALMEX WAYを全員で具現化していこうと強く呼びかけています。

ALMEX WAY「アルメックスウェイ」は、アルメックスが社会の大きなパラダイムシフトが渦巻くダーウィンの大海へと漕ぎ出すにあたり、その拠り所とする「道しるべ」であり、「コンパス」なのです。新しい組織文化を社員全員で世代を超えて創り出し、守り、改善し、継承していくことにより組織の持続的な成長を掴みとっていきたいと思います。登山に例えればまだ二合目あたりです、遥か彼方の天空に聳え立つ山頂を目指して、ALMEX WAYを礎(いしずえ)としたコミットメント文化を創造していきます。社会やお客さまへ揺るぎない価値(テクノホスピタリティ)を提供し続けていくために。

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