リーダーインタビュー

医事DXコンサルの機能を高めて
医療機関の変革を支えていく

常務執行役員 マーケティングセールス副本部長 鈴木 伸幸

常務執行役員 マーケティングセールス本部副本部長 鈴木 伸幸

ハードウェアとの親和性を強みに
DX領域で新しい事業機会をつかむ

管掌役員を務める医療機関は、今どのような課題を抱えていますか?

今後の社会動向を見据えると、確実に医療業界へ影響を及ぼす問題があります。一つは、団塊の世代が後期高齢者に達することで、介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念される「2025年問題」。もう一つは、85歳以上の人口が高齢人口の3割近くを占め、1.5人の現役世代で1人の高齢世代を支えなければならなくなる「2040問題」。労働力人口の減少による医療従事者の人手不足も深刻化しており、2040 年には医療・福祉分野の就業者数が 96 万人不足する見込みであると言われています。
これらは人口統計上、避けられない事態です。著しい超少子高齢化が進む中、人口の少ない現役世代の税負担が大きくなるばかりでなく、現在も人手不足に悩まされている病院や介護施設は、円滑な運営が難しくなる恐れがあります。

さらに、2020年は新たな問題が生じました。新型コロナウイルスの感染拡大による医療従事者の感染リスクです。とかく医師や看護師がクローズアップされがちですが、受付や精算、案内などを行うスタッフの方々の安心・安全を守ることも医療機関の責務になりました。

そのような状況に対するアルメックスの方針は?

常務執行役員 マーケティングセールス副本部長 鈴木 伸幸

医療機関で人が増やせないとすれば、正常な運営のためには業務オペレーションを効率化し、生産性を高めるしかありません。当社は受付(入口)から精算(出口)までを自動化するソリューションの提供を通じ、すでにその領域で約25年に渡り豊富なノウハウを蓄積してきましたが、さらにそれらを発展させて貢献できればと考えています。

後述する医事DXがその考え方の中心にありますが、病院スタッフの事務作業における人手不足の解消や業務負担の軽減、生産性向上、窓口の混雑緩和から非接触・非対面対応を最先端技術を駆使して、網羅的に実現できるDX化を図って行きたいと考えています。

顧客である医療機関のニーズはどのように変化していますか?

当社が提供しているソリューションの過去のニーズの変遷を考えると、“人件費削減→人手不足解消→新型コロナウイルス感染防止対策”というトレンドであり、今も昔もニーズが被る部分はあるものの、同じ製品であるにも関わらず時代によってニーズが変化しているように感じます。

またこれに続くニーズが「デジタル化」「DX化」だと捉えていますが、医療機関の外来業務のDX化を目指す様々なソリューションが存在している中で、当社には長年に渡り「自動再来受付機」や「各種表示システム」「医療費自動精算機」 を中心に、外来窓口業務の省力化・効率化に取り組んできた運用ノウハウがありますので、そのナレッジを活かしたサービス開発を行っています。

DX推進ではどのような取り組みに力を入れていますか。

DX推進に向けたキーワードは「外来スマートホスピタル化構想」です。従来は患者さまの動線に合わせ「受付」「呼び出し」「会計」といった業務カテゴリーごとに、「人(労働力)の代替」という目的で製品の導入を進めてきましたが、それらを一つの線で結ぶ発想にシフトします。業務ごとの部分的な最適化ではなく、患者さまが来院してお帰りになるまでのすべての窓口業務について、ワンストップで全体最適化を図っていこうという考え方です。

また、当社が実績を持つハードウェアの領域をアナログとすれば、アプリなどによる診療費後払いサービスなどはデジタルサービスと位置づけられます。このアナログ(オフライン)とデジタル(オンライン)の融合が最も重要だと考えています。まさにOMO(Online Merges with Offline)サービスの概念です。この取り組みはKIOSKの老舗メーカーとしての製造と、ソフトウェアの自社開発を長年行ってきた当社の最も強みとする部分で、ハードとソフトの親和性こそがDX推進のポイントだと考えています。

ユーザーファーストの視点で
病院経営の最適解を導き出す

DX推進は医療の現場や患者にどのようなメリットを生み出すのでしょうか。

常務執行役員 マーケティングセールス副本部長 鈴木 伸幸

当社が展開しているSma-pa(スマパ)シリーズのアプリを例にすると、病院の敷地内に入ったときにアプリ上で受付ができたり、同時に診療費の後払い登録を行うことが可能になります。これはほんの一例ですが、受付と同時に会計を終わらせてしまう考え方がまさにDXで、患者さまの利便性向上や窓口スタッフの業務効率化が大きく実現できます。

医療機関におけるオペレーションの効率化と、診療を受ける患者のストレスや負荷軽減を両方実現できるわけですね。

そうですね。私たちの事業の形態はB to B to Cであり、医療機関(B)のみならず、その先にいる患者さま(C)のニーズとユーザーとしての体験価値向上を重視しています。従って、DXに繋がるアプリを数多く生み出すことは施策としては重要ですが、スマートフォンを持っていない患者さまへの対応や、はたして通院する高齢者層の患者さま全員がそれらを使いこなせるかという課題もあると考えています。

これは当社のミッションである「テクノホスピタリティ(TECHNO-HOSPITALITY)を世界へ」の考え方にも通じますが、最先端のテクノロジー活用を推進する一方で、サービスのエンドユーザーである患者さまが如何にホスピタリティを感じていただけるかということは外せません。そこでそのような患者さまの受け皿として、ハードウェアの役割の重要性、前述したOMOサービスの考え方が活きてくる訳です。

ユーザーが快適に利用できる環境づくりが大事ということですね。

「古き良きものは残して、変えて行くべきところは革新して行く」という「不易流行」の考え方です。DX化やデジタル化の流れが加速する一方で、こと医療機関においては手作業やアナログ、対面のままの方が良いものもあります。アナログのサービスを不易として大事にしながら、デジタル化による流行を取り入れるということです。

どちらをどれだけ重視するかは病院経営者の判断で、従来の環境をできるだけ維持したいと考える経営者もいれば、DX推進を差別化要因にしたいと考える経営者もいます。DX推進には複数のアプローチがありますので、それぞれの経営方針に寄り添いながら、アナログとデジタル化に両輪で対応していきたいと考えています。

経営に寄り添うためにはどんな施策がありますか。

一例として、医事DX推進部というチームを立ち上げました。このチームはその名の通り医事DXの推進を目的としていますが、まずは病院の医療事務を含めた窓口業務全般の調査を行ない、現場のオペレーションの無駄や穴、業務の偏りを調査させていただきます。そしてその調査結果を元に効率化のポイントや他病院の好事例などを交え、具体的なDXの提案を病院経営層にフィードバックします。

言い換えると、「医療事務を含めた外来業務全般のDXコンサル」という感じですが、人手不足解決の手段としてICT化を推進しなければ立ち行かなくなってきている実状の中、業務調査を通じて客観的な目線で、外部環境の変化に応じたアドバイスをさせていただくことで、大変な高評価を得ています。

病院経営方針の見直しにも役立ててもらえるコンサルテーションの要素を含む取り組みですが、これまでのハードウェアの提供だけにとどまらず、経営に一歩踏み込んだ支援を行うことによって、課題の点を線に、そして面へと展開しながら全体最適化を実現していきたいと考えています。

外部環境の変化に対応していくことも重要なのですね。

常務執行役員 マーケティングセールス副本部長 鈴木 伸幸

その通りです。外部環境という点では、マイナンバーカードの保険証利用を国策として推進していることも大きな変化です。当社はマイナンバーカードの顔認証リーダーである「マイナタッチ」を全国の医療機関に提供していますが、厚生労働省の認定を受けている企業は日本で5社しかありません。受付業務の無人化やオンラインによる資格確認が主流になっていくトレンドの中で、当社が参画できていることは競争優位になっていますし、政府の方針や施策などの生きた情報を医療機関に提供していくことも当社の役割であると考えています。

医療機関からの相談内容はどのように変化していますか。

当社は自動精算機の分野でトップシェアメーカーであり、「まずはアルメックスに相談してみよう」といった期待感を持っていただきご相談を受けるケースが増えていると感じます。
例えば再来受付機とマイナタッチを連携させたのもその一例です。通常、再来受付機を利用する場合は、機械で受け付けた後に再度有人窓口へ並び、健康保険証やマイナンバーカードによる資格確認を行う必要があるため、患者さまにとっては二度手間となり負担がかかることが課題でしたが、再来受付機とマイナタッチの連携により一カ所で受付と資格確認が可能になりました。
患者さまの利便性はもとより、窓口スタッフの資格確認業務の負担軽減に大きく寄与するこの取り組みこそが医事DXであり、当社は外部環境の変化に伴走して最先端の技術を駆使し、医療機関や患者さまのニーズに応えるサービスを提供することが責務であると考えています。

アルメックスが目指す姿を教えてください

私たちが軸足を置く業界は事業や業務の専門性が高いのが特徴です。顧客である病院さまやホテルさまなどと、その先にいる患者さま、宿泊者さまに喜んでもらうためには、現場の業務フローやオペレーション上の課題を正しく理解することが重要ですので、企画・開発・製造・営業・保守技術部門のそれぞれの担当者が業界のプロとしての自覚を持って知識を増やしていく必要があります。

また、コンサルティングを通じた価値提供という点で見れば、顧客からの相談に乗ったり、ニーズを満たす知識を持つだけでは不十分です。顧客の期待を超えるソリューションを提供する、或いは顧客が認識していない課題を私たちが見つけ、解決策を提案することによって新たな付加価値やさらなる信頼関係が生まれます。そのような能力を持つ社員を増やしていくことで、”アルメックスのその上のバリュー”を作っていきたいと考えています。

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